完成までの道のり

「緻密な事業プランと、万全のビール提供体制」

それは、順風満帆の門出のはずでした・・・

2012年1月中旬、入念に練られたプランの元、『日の丸エール』 第1回目のビールの仕込みが行われました。

世界的に認められたBrewerのレシピと、世界に誇れるBreweryの設備、そして信頼できる熟練のBrewer、その後の販売プラン。

2種類のパイロットBrew(試験醸造)が行われ、熟成タンクに送られました。

あとは、酵母の発酵状況をみながらビールのコンディションをチェックして微修正し、2012年4月に行われる、日本で最大級のビールイベント 「Nippon Craft Beer Festival」 に出品して、取扱い先を募るだけでした。

「ビールは、酵母が創るもの・・・」

3週間後の2月初旬、『日の丸エール』 の一回目のテイスティングが行われました。
この時点においては、出来上がったビールは、理想とは程遠いものでした・・・
しかも、頭を悩ませたのは、オフフレーバーと言われるビールにあってはならない香りがあったわけではないこと。オフフレーバーがあれば、問題点を割り出し、それを解決できます。
しかし、オフフレーバーは無いのに、ビールはバランスを欠き、提供できるレベルには達していませんでした。

「ビールは、バランス」

クラフトリカーズの代表者と、集った経験豊かなBrewer達の向いている方向は一緒。
ただ、残念ながら出来上がったビールは、その延長線上にはありませんでした。
そしてその後1か月の発酵経過をみても、そのビール達はポテンシャルを発揮する兆しを一向に見せませんでした。

「正念場。。。」

2012年3月初旬、3回目の仕込みを行います。4月のビールの祭典に間に合わせるためにも、時間的には最後の仕込みです。その後、5月にはアジア最大級のウィスキーのイベントへこのビールを提供することも、既に決まっていました。

この2つのイベントへの提供を見送ると、年間の販売計画は大きく乱れ、事業プランを大きく変更せざるを得ませんでした。会社の運営にも支障が出てきます。

代表者は、居ても立っても居られず、製造委託先である茨城県常陸野にあるBrewery 「ネストビール」 に泊まり込みを決意します。

「微かな兆し」

2012年3月末、3回目の仕込みのテイスティング。ビールの出来上がりは、満足いくものではありませんでしたが、ギリギリの及第点。
4月のNippon Craft Beer Festivalへの提供を決意します。

「ファンからの暖かい言葉」

2012年4月8日Nippon Craft Beer Festivalが開催され、3000人を超すお客様が来場されました。
そこで、『日の丸エール』 は、早々に完売。

ファンからの 「美味しかった」 「期待して飲みにきたのに完売していて残念」 など、色々な暖かい言葉をいただき、再度 『絶対品質への回帰』 を決意します。

「微かな兆しの先にあったもの」

3回の仕込みを経験し、既に熟練のBrewerと世界のネストビールは、『日の丸エール』 の方向性と対策を掴みつつありました。

ビールの味は、「Brewerの思想・Breweryの機材の特徴・その土地の水」 等により大きく左右されます。

世界品質のBeweryは、冷静にそれを見極め、4月中旬に4回目の仕込みを行います。

「Brewerの思想、体現」

2012年5月、いくつもの試行錯誤の結果、『日の丸エール』 が完成します。

選りすぐりのモルトから抽出された琥珀色、モルト由来の甘い香りとコク、ホップの華やかさと後味の爽快さ。

我々が求めていたビールがその日、世界に誕生しました。

日本が世界に誇るエール 『日の丸エール』 が、世に生まれた瞬間でした。

特注により造られた専用の樽に詰められ、待ち望んでいた飲食店にこの日より提供が開始されます。

「果てなき旅」

「ビールの品質に絶対はありません」
多くの優秀なBrewerは、よくそう答えます。
その瞬間、一瞬は完成し、完璧に思えるビールでも、
愛すればこそ、改善点が見えてきます。
完璧なビールができれば、その再現性を、
再現できれば、世界のビールとの比較を、
そう、我々は終わりなき品質探究をしており、それを愉しんでいるのです。